第17回「グリム童話賞」決定しました(1/16)

昨年4月より募集を行いました「第17回グリム童話賞」(テーマは「月」)について、慎重かつ厳正な審査を行った結果、下記の通り入賞作品並びに入賞者が決定しました。

【一般の部】
大 賞
「骨董店フル・ムーン」 水城 文恵(東京都)
優秀賞
「トビウオと朝の白い月」 村上 あつこ(東京都)
「月あかり洋裁店」 ひろい れいこ(東京都)
佳 作
「月夜のはがき」 尾崎 順子(兵庫県)
「月の夜はさわがしい」 おの かつこ(東京都)
「お月さまはなぜかける」 ゆずりは さとし(東京都)

【中学生以下の部】
大 賞
「満月の夜の不思議な話」 栗林 紘大(栃木県)
奨励賞
「月とライオン」 佐藤 なつみ(宮城県)
「月のろうそく」 蓬田 萌乃香(栃木県)
「お月様の相談所」 岡田 渚子(栃木県)

入賞者の皆さまには、1月13日付けで、贈呈式のご案内をお送りしました。
作品応募時に結果通知を希望された方へは、本日発送予定です。
選考委員から特別な評のない場合には、個人への作品講評はいたしません。

大賞作品は、2月12日から開催します「第36回企画展」会場にて掲示します。
入賞作品を掲載した「作品集」は、電子書籍として販売しています。
発売は2月中旬を予定しています。
作品集の販売・購入についてはこちらでご確認ください。
作品集には、入賞作品10編と、選考委員による総評、各作品への講評も掲載いたします。

【審査員講評】(要約・抜粋しています)
 本年度は『月』がテーマであった。月にまつわる昔話や伝説、そして物語はたくさんあり、新しく創作するのは難しいところがあったかもしれない。また、それだけに、意欲的にとりくんだ応募者のみなさんには敬意を表したい。
 最終選考で選者の高得点を集めた3編のうち、華やかな物語のかげに隠れた主人公の思いが書かれた水城文恵さんの「骨董店フル・ムーン」が大賞に選ばれ、命をつなぐ者の心のつながりがうまく描かれた「トビウオと朝の白い月」(村上あつこさん)、読む者の心をあたためてくれる作品「月あかり洋裁店」(ひろいれいこさん)が優秀賞に選ばれた。佳作作品は、発想が類型的であったり、物語展開に疑問があったりと、その細部で3編に及ばなかった。
 文章量に制限がある中では収まりきれないものがあるのかもしれないが、ストーリー展開のうまさや面白さ、アイディア以上に、それを支える“作者から語りかける心”を大切にしてほしい。

 中学生以下の部の応募作品は、ファンタジーの世界をなぞったり、アニメのような仮想世界を描く傾向がある。一見奇抜で面白い展開ではあるが、そこに作者の思いがこめられてこそ物語が面白いのであり、ゲーム感覚の一時的な愉快さだけでは、後に残るものはない。
 お話を考えながら、ストーリーのどこに『自分の心や願い』がこめられているか、なぜこの話が書きたいのか、と立ち止まって考えてみることが必要である。

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