第14回「グリム童話賞」決定しました(1/19)

昨年4月より募集をおこないました「第14回 グリム童話賞」(テーマは「石」)について、慎重かつ厳正な審査を行った結果、下記の通り入賞作品並びに入賞者が決定しました。

【一般の部】
大 賞
「漬物大明神」 小田由紀子(岡山県)
優秀賞
「猫の月時計」 小林栗奈(東京都)
「つまずき石」 むかいもと実穂(神奈川県)
佳 作
「さぶ助がだいた石」 まきえまき(東京都)
「石のおねがい」 百戸あきこ(栃木県)
「おじいちゃんは石頭」 廣田晃士(京都府)

【中学生以下の部】
大 賞
「ユウレイの、石」 REINA(アメリカ)
奨励賞
「夏休みと不思議な石」 有馬京香(茨城県)
「ふしぎな石」 鹿山涼太(栃木県)
「魚の石」 中島芽生(栃木県)

入賞者の皆さまには、1月16日付で、贈呈式のご案内をお送りしました。
作品応募時に結果通知を希望された方へは、本日発送予定です。
選考委員から特別な評のない場合には、個人への作品の講評はいたしません。

大賞作品は、2月16日から開催します「第33回企画展」会場にて掲示いたします。

入賞作品を掲載した「作品集」は、電子書籍として販売しています。
作品集の販売・購入についてはこちらでご確認ください。
作品集には入賞作品10編と、選考委員による総評、各作品への講評も掲載いたします。

関連リンク:グリム童話賞 締め切りました

【審査員講評】(要約・抜粋しています)
今回の題は「石」であったが、発想が似たものが多くみられた。
多くは、魔法の石であるとか、石が話しだすとか、宝石の秘密であるとかのアイデアが目立った。
 最初にうかんだアイデアから物語を創作するのはよいが、その発想をよく咀嚼して、また自分自身の思いなどもじっくり考えたうえで、熟成させてから筆をおろしてほしいと思う。
思いつきのまま、スタートしてしまうと、どこかで破たんがあったり、着地点も意外と平凡で、竜頭蛇尾に終わってしまうこともある。
どの作品も期待して読ませていただくので、お話を書きだす前に、すこし我慢して「熟成」させてほしいと思うことしばしであった。
入賞した作品は、500編以上の作品の中から最終選考に残っており、各作品にはそれぞれキラリと光る宝石がふくまれていたにはちがいない。
ただ、まだ原石のまま磨きがたりないところもあるようで、さらに磨いて精進されることを期待したい。
選外の応募の方々にも、言葉と心をみがいているうちに、きっと読む人をひきつける作品が生まれるはずだと申し上げておきたい。

中学生以下の部で、とくに学年が上のみなさんの作品を拝見していつも感じるのは、無国籍童話的、カタカナの主人公とロールプレイングゲームやファンタジーのイメージの濃い、どこかで読んだストーリーであったり、とても10枚の紙幅ではおさまりきれない構想のあらすじを書いているだけにしかみえない作品が目立つということである。
また、会話を生かしてライトノベル調に話をどんどん進めていくのはよいが、読者がおいてきぼりにされてしまう説明不足、描写不足といったダメだしをしたくなることが多い。
文字数が限られた中でのストーリー展開であるから、それなりの整理をしておかないと、わかっているのは自分だけということになりかねない。

なぜ書くのか? なぜ書きたいのか? 書いていてたのしいのはなぜか?
まず、グリム童話に代表されるメルヒェンの世界に心を遊ばせるひとときのことを、じっくり考えていただきたい。
そうして書き上げた自分の作品は、だれがなんといおうと、それぞれの「宝石」「たからもの」であるのはまちがいないと思うのだ。

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